移動平均線・水平線・トレンドラインは、テクニカル分析の基本にあたる指標ですが、これらを組み合わせて活用することで、トレードの精度を大きく高めることができます。なかでも、複数のラインが重なるポイントは、反発やブレイクの起点となる重要な場面です。
今回の解説では、元為替ディーラーの小林社長との対談を通じて、実際のトレードで意識しているラインの選定理由や、反応の出やすい局面の見極め方を具体的に取り上げています。移動平均線の設定根拠、水平線の引き方、トレンドラインの角度による判断方法など、実践的なノウハウを整理しました。

ラインは単独で使うのではなく、重なりや相関関係を捉えていくことがポイントです。まずは自身のチャートに表示して、どのラインが機能するかを検証しながら読み進めてみてください。
これからFXを始める初心者に観てほしい動画です。
移動平均線の設定と使い方を見直す
プロが重視する10日・25日・90日・200日線の根拠
私が使用している移動平均線は、10EMA・25SMA・90SMA・200SMAの4本です。これらは自身の検証に加え、小林社長が現役時代に使っていた実績ある数値に基づいています。
中でも200日線は、NY市場の終値をベースに計算されており、世界中で意識される長期の節目です。トレンドの大局を判断するうえで欠かせません。90日線は中期トレンドの把握に有効で、特に価格との乖離が大きくなったときに注目しています。
25日線はボリンジャーバンドのセンターラインとして使われることが多く、平均的な価格水準の目安となります。10EMAは短期的な動きに敏感で、エントリータイミングの補助に活用しています。

移動平均線は数が多ければ良いというものではありません。重要なのは、なぜその数値を使うのかを理解し、意味を持たせたうえで活用することです。
90・108・144線が機能する理由と時間帯との関係
5分足で使用している72・108・144という移動平均線は、単なる設定値ではなく、取引時間と密接に関係しています。具体的には、東京市場が始まってから6時間(72)、9時間(108)、12時間(144)という節目に対応しており、それぞれ欧州勢やNY勢の参入時間に重なります。
この時間帯には相場の流れが切り替わりやすく、価格がこれらのラインに接触することで反発やブレイクが発生しやすくなります。重要なのは、相場の「時間の節目」と「価格の水準」が重なる場面を押さえることです。
私はこれらのラインを常に表示しているわけではありませんが、参考チャートとしてチェックしています。

普段使っているメインチャートとは分けて表示することで、必要な場面で冷静に判断しやすくなります。
クロスだけでエントリーしない理由と「押し目・戻り」の考え方
ゴールデンクロスやデッドクロスは、移動平均線を使った基本的なシグナルです。
ただし、これだけを根拠にエントリーするのは危険です。なぜなら、移動平均線は過去の価格から導かれる“遅行指標”だからです。
クロスが起きた時点では、すでに相場が一方向に動いているケースが多く、高値掴みや底値売りになる可能性があります。私は必ず、クロス後に一度押したり戻したりする動きを待ってからエントリーを考えます。押し目買いや戻り売りの形が整ったときが狙い目です。
また、短期的な動きだけでなく、長期線との位置関係も重要です。
たとえば200日線より下にある場合、たとえ短期的に上昇していても大局は下降トレンドと見なします。

クロスは単独で判断せず、他の要素と組み合わせて使うべきでしょう。
複数の移動平均線を“重ねて見る”という視点
「ラインの重なり」が示す強い反応ポイントとは
複数の移動平均線が1つの価格帯に集中している場面では、相場が反応しやすくなります。
たとえば、90SMAと200SMA、あるいは25SMAと10EMAが重なっている箇所は、価格が跳ね返されやすい領域です。
なぜなら、市場参加者の多くが同じラインを注視しており、そこに注文が集中しやすいためです。意識されるラインが複数重なる地点では、売買の攻防が激しくなり、反発やブレイクが明確に現れる傾向があります。
こうした“重なり”は、私にとってエントリーポイントを絞る上で重要な判断材料となっています。

1本のラインよりも複数が交差しているほうが信頼性は高く、実際に転換点として機能する場面も少なくありません。
短期足と長期足の目線を統合してトレード判断を固める
移動平均線を活用する際は、時間軸の違いにも注目する必要があります。上位足(たとえば日足や4時間足)が上昇トレンドである一方、短期足(5分・15分足)で下落が進んでいる場面では、安易に逆張りすべきではありません。
私が意識しているのは、上位足と短期足の方向がそろったタイミングを狙うことです。その方がトレンドに乗った自然な流れでトレードができ、リスクを抑えながら利幅も狙いやすくなります。
特に短期トレードでは、一時的な戻しや押しで迷うこともありますが、長期足の目線が定まっていれば、ブレにくい判断ができます。

短期足だけで判断しないという意識が、結果的に無駄なエントリーを減らすことにつながるでしょう。
すべてを表示せず、補助チャートとして使う柔軟な運用法
移動平均線は便利な指標ですが、あまりに多く表示するとチャートが見づらくなります。
私は必要なラインだけを普段使いのチャートに表示し、それ以外は“補助用チャート”として別画面で管理しています。
たとえば、90・108・144といった5分足のラインは、常時監視する必要はありません。ただし、市場の節目となる時間帯には意識されやすいため、私は別チャートで価格の接近状況をチェックするようにしています。
このように、状況に応じてラインを使い分ける姿勢が、判断の柔軟性を保つ上で効果的です。

すべてのラインを常に表示するのではなく、今どれに注目すべきかを取捨選択すること。それが結果として、分析の精度を引き上げることにもつながるでしょう。
水平線の引き方とその反応を読み解く
高値・安値・折り返し地点に加え“幅”も意識して引く
水平線は、直近の高値や安値に引くだけでは、分析としては不十分です。
反転を繰り返した価格帯、つまり過去に複数回接触している水準にも注目すべきでしょう。こうした箇所に水平線を引くことで、単なる「止まりやすい場所」ではなく、売買の攻防が起こりやすいゾーンとして機能します。
過去に私自身、上位足の重要な反転帯を見落としたことで、絶好のエントリータイミングを逃した経験があります。この失敗をきっかけに、日足で意識されたラインを5分足や15分足に落とし込み、短期足でもその反応を確認することを徹底するようになりました。
また、高値と安値の値幅を意識し、その中間に補助線を引くことも有効です。価格が中間点付近で折り返すケースは少なくなく、押し目や戻り売りの目安として活用できます。

値幅に対する“幅の感覚”を取り入れることで、より戦略的なライン分析が可能になると感じています。
中間ラインやゾーンの考え方で価格帯を絞り込む
水平線を引く際には、単一のレートではなく「価格帯」としてゾーンで捉える視点が欠かせません。ローソク足の実体やヒゲのバラつきを見ると、明確な1本の線ではなく、ある程度の幅を持たせることが現実的です。
私が意識しているのは、一定の高値・安値間における“中間ライン”の活用です。これはたとえば1円幅のゾーンであれば、その半値付近を意識して引くことで、反転や利確の目安になりやすくなります。実際にこの中間ラインで一度反発して再び上昇したケースも多く見てきました。
こうした価格帯をゾーンとして扱うことで、レンジ相場や一時的な反発にも対応しやすくなります。

結果として、曖昧だったサポレジの認識がより具体的なトレード判断につながるようになりました。
上位足の水平線が引き起こす“ストップ狩り”への備え
上位足で引かれた水平線は、多くのトレーダーが意識しているため、価格がその水準に近づくと注文が集中します。このタイミングで発生しやすいのが“ストップ狩り”です。特に短期足に集中していると、突然の急変動に対応できず、不利な価格で約定してしまうこともあります。
私も以前、短期足だけに注目していた際に、上位足の節目で急な売りが入り、損切りを余儀なくされた経験があります。それ以降、トレード前には必ず日足や4時間足レベルで重要な水平線の位置を確認し、そこに接近する場面ではポジション量を抑えるなどの工夫をしています。
重要なのは、短期チャートの動きだけで判断せず、相場全体の視点を持つことです。

想定外の動きに備えつつ、優位性のあるトレードが実現しやすくなります。
短期足に落とし込む水平線の実践活用
5分・15分足で効くラインとその確認方法
日足や4時間足で引いた水平線は、短期足でも機能しやすいのが特徴です。特に5分足や15分足に落とし込んで見ることで、短期トレードにおける精度を高めることができます。
私はエントリー前に、上位足の主要なラインを短期足に写し、その価格帯での反応を確認するようにしています。
価格が何度も止められていれば、その水準はマーケットで意識されていると判断できます。こうしたポイントは、押し目買いや戻り売りのタイミングを測るうえで有効です。
反応を確認する際には、ローソク足の形状や実体の大きさ、さらには出来高の変化も併せて見ています。

視覚的な反応だけに頼らず、背景となる動きにも注意を払うことで、より信頼性の高い判断が可能になるでしょう。
水平線を「上抜け/下抜け」した後のターゲットの見極め方
水平線を突破したあとは、次に価格がどこまで進むかを冷静に判断する必要があります。
ただ抜けたからといってすぐに飛び乗るのは危険です。事前にターゲットの想定ができていなければ、利確や撤退の判断が曖昧になり、結果的に損失につながる可能性もあるでしょう。
私はブレイク前から、次に意識されやすい水平線や中間ラインとの距離を確認しています。
たとえば、直上に目立った高値が見当たらない場合は、過去の揉み合い水準を次のターゲットに設定しておくことで、利確の計画が立てやすくなります。
また、ブレイクが一時的な“だまし”かどうかは、値動きの勢いやローソク足の形状から見極めるようにしています。勢いが弱いと感じたときには、無理にエントリーせず、一度押しや戻りを待って仕掛けるようにしているのです。このように構えておくことで、無駄なトレードを避け、高値掴みのリスクも減らせます。
トレンドラインを活かすための基本と応用
ラインは“ヒゲ”で引く、まずは引きまくって検証を
トレンドラインを引く際、多くの人がローソク足の実体に合わせようとしますが、私が基本としているのは“ヒゲ”を起点にすることです。
なぜなら、ヒゲには市場の本音、つまり一時的な売り買いの勢いが表れており、そこにタッチする形で意識されるケースが多いためです。
最初から正確なラインを引こうとする必要はありません。むしろ、どんどん引いてみることが重要です。私も検証を重ねる中で、ラインを大量に引いては消し、実際に機能したものだけを残してきました。そうすることで、どの角度や位置が有効なのかが見えてくるようになります。
大切なのは、迷わず手を動かしてラインを引いてみることです。引きすぎてチャートが見づらくなったとしても、そこから見えてくる気付きは多く、それがトレードの精度向上につながると実感しています。
角度で変わる反発の強弱とトレンドの持続性
トレンドラインの角度には、単なる見た目以上の意味があります。急角度で引かれたラインほど、短期的な勢いは強い一方で、維持されにくい傾向があります。逆に緩やかな角度のラインは反発こそ穏やかですが、トレンドそのものが継続しやすい特徴を持っています。
私はトレンドラインを引くとき、単に当たるかどうかを見るだけでなく、その角度が相場の勢いとどう連動しているかにも注目しています。実際に、緩やかなライン上で価格がじわじわと上昇し続けるパターンでは、押し目が浅くても強い上昇が継続したケースを多く見てきました。
角度を視覚的に捉えることで、ブレイクの可能性や押し目の深さも予測しやすくなります。

トレンドラインは単なる“支え”ではなく、相場の呼吸やリズムを感じ取るツールとして活用すべきだと考えています。
反転シグナルとしてのチャートパターンとラインの併用
ダブルトップ・トリプルトップとトレンドラインの連動
チャートパターンの中でも、ダブルトップやトリプルトップは反転のシグナルとして広く知られています。私が特に意識しているのは、それらの形とトレンドラインとの“連動性”です。
単体で見るよりも、複数の根拠が同時に重なった場面の方が、明確な判断材料として機能しやすいと感じています。
たとえば、上昇中の価格が2回または3回高値を試したものの失敗し、同時にトレンドラインを割り込んできた場合、それは単なる高値更新の失敗では済まされません。この組み合わせが確認できたときには、エントリーの優先度を高めに設定するようにしています。
チャートパターンを単なる“形”として捉えるのではなく、そこに含まれる力関係やタイミングのズレにも目を向けることが重要です。

表面的な形状では読み取れない本質的な相場の動きに気づくことができるようになります。
ネックライン突破・ライン割れ・水平線重合の“三重根拠”を活かす
私がトレードの判断材料として特に信頼しているのが、「ネックラインの突破」「トレンドラインの割れ」「水平線との重なり」といった三重の根拠がそろった場面です。これらが一致すると、単なる反発や調整ではなく、明確な転換シグナルとして機能することが多くなります。
過去の検証でも、これらの要素が重なった瞬間は大きな値動きにつながる確率が高いと感じており、特にロットを張る場面として位置づけています。逆に、一つしか条件がそろわない場合は見送り、複数の条件がそろうまで待つのが基本姿勢です。

あらかじめそうした「反転の合図」が見えた時点で、次の展開を複数シナリオで準備しておくことで、慌てず優位なタイミングを狙うことができます。
古いラインは整理し、チャートを常に“機能する状態”に保つ
ライン分析を続けていると、どうしてもチャート上に古い水平線やトレンドラインが溜まってしまいます。私もかつては、過去に引いたラインをそのまま残していたことで、チャートが見づらくなり、重要な水準を見落としてしまうことがありました。
そこで現在は、一定期間を過ぎて機能しなくなったラインは積極的に削除するようにしています。実際に反応しなくなったラインを残しておいても、判断のノイズになるだけです。チャートは「見える化」する道具であり、複雑にするものではありません。
常に必要なラインだけを残しておくことで、相場の変化にも柔軟に対応できるようになります。定期的に整理を行い、チャートの状態を“今”に最適化しておくことが、トレードの集中力や判断スピードにも好影響を与えてくれます。
まとめ
水平線や移動平均線、トレンドラインといったライン分析は、一見シンプルに見えます。しかし、実戦で活かすには“どこにどう引くか”だけでなく、“どのように活用するか”が重要です。ラインを引いただけで満足してしまうと、相場の本質は見えてきません。
私自身、ライン分析の精度を高めていく中で、無駄なエントリーが減り、トレンドの流れも捉えやすくなったと実感しています。特に「ラインの重なり」や「複数の根拠が一致する場面」は、反転やブレイクの信頼性を飛躍的に高める材料になります。
とはいえ、ラインは一度引いたら終わりではありません。常に相場の動きに合わせて整理・更新する姿勢が求められます。機能しなくなったラインにこだわるより、今の相場で意識されている水準を見極めることのほうが、はるかに実戦的です。

チャートの中にある“相場の意志”を読み解き、意味あるラインだけを残す。この積み重ねこそが、再現性のあるトレードを形づくる鍵になると考えています。