『1億円』
甘美な響き。手に入れたい。欲しい。渋沢栄一が1万人。
資産形成のひとつの節目となるのが、1億円ですね。
この1億円という大きなお金をつくるには、どのような方法があるのでしょうか。
今回は、「1億円をつくる方法」について、考えてみました。
1億円をつくる方法の候補
1億円をつくるためには、いろいろな方法があります。
今回は、比較的実行しやすいという観点から、下記方法をピックアップしました。
・貯金
・インデックス投資
・グロース株投資
・高配当株投資
次章以降で、これらの方法について検討します。
貯金
積立て貯金を毎月するとして、1億円を達成するためには、下記の年数がかかります。
※利息は考慮せず
毎月5万円(年間60万円) → 167年で1億円
毎月10万円(年間120万円)→ 84年で1億円
毎月20万円(年間240万円)→ 42年で1億円
毎月30万円(年間360万円)→ 28年で1億円
毎月40万円(年間480万円)→ 21年で1億円
毎月50万円(年間600万円)→ 17年で1億円
⇒毎月10万円の積立て貯金でも、84年もかかります。
時間がかかり過ぎて、人生が終わってしまいますね。
⇒1億円達成までの期間を短縮しようとしたら、毎月の積立て貯金の額が大き過ぎて、非現実的になります。
貯金で1億円をつくるのは、かなり難しいです。
インデックス投資
投資に関する様々な研究によって、長期的に見て、株式市場全体(インデックス)への投資の利回りは平均年6%程度を期待できるとされています。
これは、過去の超長期データに基づく平均的な数値です。
株式市場全体には、良い企業も、反対に駄目な企業・倒産する企業も含まれてしまいますが、長期的には年6%程度との研究結果が出ています。
したがって、インデックス投資信託を買うと、理論的には年6%の複利で投資資産が増えていく計算になります。
毎月定額でインデックス投資信託を買う場合、年6%の複利で下記のように増えます。
●毎月5万円をインデックス投資信託に投資
10年後:838万円の投資資産、投資元本(自分で出したお金の合計)は600万円=月5万円×12か月×10年
20年後:2,339万円、投資元本1,200万円
30年後:5,028万円、投資元本1,800万円
●毎月10万円をインデックス投資信託に投資
10年後:1,676万円、投資元本1,200万円
20年後:4,679万円、投資元本2,400万円
30年後:1億56万円、投資元本3,600万円
●毎月20万円をインデックス投資信託に投資
10年後:3,353万円、投資元本2,400万円
20年後:9,358万円、投資元本4,800万円
30年後:2億112万円、投資元本7,200万円
上記を一覧表にすると、
⇒まず、よく見て頂きたいのが、インデックス投資のリターンと条件の基本的ケースです。
すなわち、以下のケースです。
「毎月5万円を積立て投資・年6%の複利で、30年後に5千万円の投資資産(投資元本1,800万円)」
他の投資法と比較する場合にも役立つので、このケースをぜひ覚えておいて下さい!
「インデックス投資は、毎月5万円で30年後に5千万円(投資元本1,800万円)」です。
なお上記は掛け算ですから、毎月10万円(=5万円の2倍)の積立て投資ならば、30年後の資産も2倍の約1億円(=5千万円の2倍)のように計算できます。
⇒上記の各ケースのように、インデックス投資では、毎月一定額の積立て投資の場合、毎月の投資金額にかかわらず、以下のリターンとなります。複利で増えていきますので、投資期間が長いほど有利です。
インデックス投資の毎月積立ての場合、
・10年で投資元本の1.4倍
・20年で投資元本の1.95倍
・30年で投資元本の2.79倍
このリターンを多いと考えるか、少ないと考えるかは人それぞれですが、逆に言えば、これがインデックス投資での理論上の限界です。長期的には、この数字に収束していきます。
⇒上記の各ケースを参照すると、インデックス投資で1億円をつくるためには、以下の投資が必要です。
①毎月10万円を投資して30年後(投資元本3,600万円)
②毎月20万円を投資して21年後(投資元本5,040万円)
①の場合、10万円もの金額を毎月毎月休むことなく、30年という赤ちゃんが成人するまで以上の長~い期間、積立て投資を続けて、やっと1億円の資産。
しかも、1億円の3分の1以上の3,600万円は、自分の収入から払った投資元本です。
②の場合、毎月10万円の投資でも実行するのが通常は難しい金額なのに、その2倍の毎月20万円の投資を21年間続けなければなりません。
また、21年間で投資元本は5,040万円になるわけですから、1億円の資産のうち、半分以上は自分で出したお金です。
⇒さらに実際は、非課税である新NISAの生涯投資枠は1,800万円なので、それを超える投資元本は特定口座(課税)で投資することになります。
インデックス投資の資産は、基本的に分配金なしのため、保有しているだけではキャッシュフローは入りませんから、生活費等に使うには売却しなければなりません。
売却時には特定口座での利益には約20%課税されるので、実際に現金化して使える金額は、上記①②の場合でも、1億円を割り込みます。
⇒こうやって見ると、1億円をつくる方法としてのインデックス投資は、あまり魅力的には思えません。
毎月10万円払って30年後に1億円って、悪くないのかもしれないけど、ちょっとなんだかなーという感じです。
グロース株投資
個別のグロース株・成長株に投資して、高いリターン(株式売却益、キャピタルゲイン)を狙う投資法です。反面、リスクも上がります。
グロース株に投資し、株価が上昇したところで売却して利益を得るという前提で試算します。
売却益も売却損も両方出るでしょうが、利益と損失を合計した年間の利益率を想定しました。
●毎月5万円を投資
・年10%の利益を毎年出せば、30年後に1億円(投資元本1,800万円)
・年20%の利益なら、19年後(投資元本1,140万円)
・年30%の利益なら、14年後(投資元本840万円)
●毎月10万円を投資
・年10%なら、23年後(投資元本2,760万円)
・年20%なら、15年後(投資元本1,800万円)
・年30%なら、12年後(投資元本1,440万円)
⇒まず、大前提として、個別株に投資して、株式市場全体のリターンであるインデックス投資の年6%を超える利益率をあげること、そして、その年6%超えを長期にわたって続けることは、非常に難しいです。
株価が上昇するような企業を狙って選び出すのは、通常は困難です。
そもそも、もしそんなことができるのであれば、1億円と言わず、数千億円・数兆円の超大金持ちになれます。
⇒税金面では、非課税の新NISAで個別株に投資できる成長投資枠の上限は1,200万円ですが、1年間の投資枠は240万円、保有株売却分の投資枠が復活するのは翌年になりますから、全ての売買取引を非課税で行うことは困難です。
⇒グロース株への個別投資で1億円をつくるのは、かなりの実力と幸運が必要と考えられ、実際には、難易度は相当高いです。
高配当株投資
高配当株に投資して、配当金を再投資しながら、1億円を狙う方法です。
下記の条件で高配当株に投資したと想定して試算します。
≪前提条件≫
①毎月一定額を高配当株に投資する。 ※1
②投資対象は、配当利回り4.0%(税引前)の複数の高配当株。 ※2
③受け取った税引後の配当金は、高配当株に全額再投資する。 ※3
④増配率=株価上昇率 と想定する。 ※4
※1:
高配当株(個別株)は、制度上、新NISAの成長投資枠(上限1,200万円)だけでしか買えないため、上限を超える額は、特定口座(課税)で投資します。
※2:
配当利回り4.0%の高配当株1社への投資の場合でも、保有する複数の高配当株ポートフォリオ全体の平均配当利回りが4.0%の場合でも、試算結果は同じです。複数の高配当株に投資することで、リスクを下げます。
※3:
新NISA口座での配当金は非課税なので、そのままの配当金額を再投資。特定口座での配当金は、税金約20%を差し引いた後の税引後配当金額を再投資。
※4:
増配率(%)=配当金÷前年の配当金 で計算します。
例えば、今年の1株当たり配当金が105円、前年の配当金が100円だった場合、増配率は5%(=105円÷100円)になります。
当たり前のようですが、増配が発表されると通常は株価も上昇します。
増配率=株価上昇率 が成り立つ理由については、下記の記事をご参照ください。

上記の前提条件にて、
●年間の増配率5%の場合
・毎月5万円の投資
→33年後に1億円の時価資産+年間税引後配当金360万円(投資元本1,980万円)
・毎月10万円の投資
→26年後に1億円+年間税引後配当金365万円(投資元本3,120万円)
・毎月20万円の投資
→19年後に1億円+年間税引後配当金361万円(投資元本4,560万円)
●年間の増配率10%の場合
・毎月5万円の投資
→25年後に1億円+年間税引後配当金395万円(投資元本1,500万円)
・毎月10万円の投資
→20年後に1億円+年間税引後配当金380万円(投資元本2,400万円)
・毎月20万円の投資
→15年後に1億円+年間税引後配当金362万円(投資元本3,600万円)
上記を一覧表にすると、
⇒上記の高配当株投資によるケースが、インデックス投資その他と大きく異なるのは、1億円の時価資産に加えて、「配当金」があることです。
毎年毎年、数百万円の配当金も受け取れます。10年もらい続ければ、受取り配当金だけで数千万円にもなります。配当金がある点は、大きなプラス材料です。
⇒増配率の実現可能性:
例えば、優良な高配当株の「累進配当ブラザーズ」8社の直近の増配率は以下の通りです。

[累進配当ブラザーズの直近の増配率]
・三井住友FG:33%増
・三菱商事:43%増
・オリックス:26%増以上の見込み
・NTT:2%増
・三菱HCキャピタル:8%増
・東京海上HD:32%増
・積水ハウス:5%増
・キリンHD:4%増
※直近以前の増配率については、上記リンク先の個別記事をご参照ください。
過去は未来を保証しませんが、その企業の増配率の実績は、大きな手がかりになります。
これらの増配率を見ても分かるように、平均して年間の増配率5%という数字は普通にあり得ますし、増配率10%も、それ以上の増配率も可能性は十分あると考えられます。
そして、増配率=株価上昇率 で株価も上昇していきます。

⇒先ほどの高配当株投資の表の中から、2つをピックアップします。
①毎月5万円の投資・年間増配率5%ならば、
→33年後に1億円の時価資産+年間税引後配当金360万円(投資元本1,980万円)
②毎月10万円の投資・年間増配率10%ならば、
→20年後に1億円+年間税引後配当金380万円(投資元本2,400万円)
この②の結果であれば、例えば25歳から始めたとして、20年後の45歳に1億円+380万円の年間税引後配当金(=1か月当たり31万円)です。
これならば、人生プランとしても、結構いい線を行っているのではないでしょうか。
そして、②を達成するためには、「①をベースにして、②に寄せていく作戦」(資産上方修正作戦)が、現実的かつ有効です。
[資産上方修正作戦の内容]
上記①のケースについての条件は2つ、すなわち「A.毎月5万円の投資」と「B.年間増配率5%」です。
①-Aの「毎月5万円投資」という条件の方は、個人個人の給料額や家計の事情が関係してきますが、ボーナスの活用など、決して不可能な数字ではないと考えられます。
(金額的に無理な場合は、できる範囲で月1万円でも3万円でも投資し、後に可能な家計状況になったら増額することで対応します)
①-Bの「増配率5%」の条件の方は、累進配当ブラザーズの増配率実績から見ても、十分に可能性があります。
つまり、上記①のケースは達成可能性が十分にあるので、まずは①の成果を狙って投資を行いながら、現実の状況次第で、あわよくば②の達成を狙うのが、「資産上方修正作戦」です!
①の条件は「A.毎月5万円の投資」と「B.年間増配率5%」
②の条件は「C.毎月10万円の投資」と「D.年間増配率10%」
よって、毎月5万円を毎月10万円に、増配率5%を10%(orそれ以上)に、できるだけ近づけていけば、②の投資成果(20年後に1億円+年間税引後配当金380万円)をゲットできます。
さらに、②の条件CとDを結果的に上回ることができれば、20年後ではなく、もっと早く1億円の達成が可能です。
≪資産上方修正作戦のやり方!≫
AをCに、BをDに近づける。
「A.毎月5万円の投資」→「C.毎月10万円の投資」
「B.年間増配率5%」→「D.年間増配率10%」
具体的には、まずは、①-Aの毎月5万円をベースにして投資します。
そして、生活費が予定以下で済んだとか、ボーナスが増えたり、昇格で給料が上がったなど、お金に余裕が出た月には、5万円を超える金額を追加で投資し、②-Cの条件の「毎月10万円の投資」に近づけます。
増配率の方の条件については、増配自体を実質的に決めるのは企業ですから、我々にできるのは、優良な高配当株企業に投資して、じっと待つことです。
例えば、減配しない累進配当ブラザーズ8社に投資しておくことで、当該8社の上述の増配率実績から見て、増配率5%は十分に可能性がありますし、増配率10%以上も期待できます。
このような資産上方修正作戦で、上記①をベースにして投資をしながら、投資成果を②の資産に上方修正することを狙えます。
1億円をつくるための各投資法の比較
1億円をつくる方法としては、上記の結果から、貯金ではほぼ不可能、グロース株投資では実現性が低いです。
ここでは、残りのインデックス投資と高配当株投資を比較してみます。
上述のインデックス投資・高配当株投資の2つの表を再掲します。
じっくり、見比べてみてください。
●毎月5万円を投資する場合(上表の左から2列目ご参照)、
・インデックス投資なら、30年後に5千万円
・高配当株投資なら、33年後に1億円+年間税引後配当金360万円
●毎月10万円を投資する場合(上表の左から3列目ご参照)、
・インデックス投資なら、30年後に1億円
・高配当株投資なら、20年後に1億円+年間税引後配当金380万円
⇒これを比較すると、到達する資産の額・到達までの年数や、配当金も受け取れる点など、高配当株投資の圧勝と言ってもいい結果だと思います。
⇒ここで、インデックス派から反論がありそうな点が、個別株リスクです。
「そうは言っても、増配率5%や10%の配当金を出す個別企業を選ぶことはできないよ。投資した企業が業績不振になったり、ダメダメで倒産するかもしれないよ。」といったリスクです。
「個別株リスクがあるのだから、株式市場全体に投資するインデックス投資で、長期で年6%のリターンを狙うべきなんだ。」という考えです。
一見もっともな理屈ですが、高配当株には、配当金の実績という目に見える明確な基準が存在します。
この基準を考慮してピックアップしたのが、優良な高配当株の累進配当ブラザーズです。

もちろん、過去は未来を保証しませんし、どこまで行っても個別株リスクはゼロにはならないでしょう。
しかし、そもそも累進配当ブラザーズ(三菱商事や三井住友FG、NTTなど)のような優良な高配当株を対象とする投資について、そんなに声高に、個別株リスクを心配する必要があるのでしょうか。
言い換えれば、例えば、日経平均225への投資(インデックス投資)リスクと、三菱商事や三井住友FGへの投資(高配当株投資)リスクに、どれほどの大きな違いがあるのでしょうか。
ここで三菱商事を一例として、以下の問いについて考えてみてください。
◆30年後に、その企業は存在しているか?
→三菱商事は、超大企業で資金力も十分、高度な人材が豊富で国際的な対応力もある。30年後も倒産せずに存在している可能性がかなり高い。
もし三菱商事が倒産するなら、日本の上場企業の99%が倒産するような大惨事の社会的状況(戦争や革命)ではないか。
逆に、三菱商事が倒産すると思うなら、インデックス投資もするべきではないでしょう。なぜなら、三菱商事が倒産するような状況は、株式市場全体・株式指数も崩壊する状況であると推測されるから。
そもそも、インデックス投資派の理論が成り立つとすれば、30年後の世界の株式市場全体の時価総額は今の5倍以上(=年6%複利で30年)に成長しているはず。
そのような経済が成長した世界で、三菱商事が倒産しているのか。いや、そんなことはほぼないと考えられる。
◆仮に30年後までに、三菱商事が倒産するとして、いきなり潰れるのか?
→三菱商事ほどの超大型の企業が、昨日までは平穏だったのに、今日いきなり倒産するとは現実的には考えにくい。業績不振や赤字転落など、何らかの事前の兆候があるはず。
兆候が見えた段階で、保有する三菱商事株式を売却できるし、長期保有していれば、配当金で投資元本の大部分を回収済みの可能性が高い。
◆30年後に存在していたら、その企業は現在よりも配当金が少なくなっているのか?
→現在、三菱商事の1株当たり配当は100円。これが30年も経った後に、配当90円や80円に減少していることは、上記の三菱商事の優秀さから言っても、非常に考えにくい。
そして、減配がなければ、高配当株投資で負けることはありません。必勝です。

◆増配率5%・10%は可能なのか?
→前の章に記載の通り、累進配当ブラザーズの増配率実績から見て、増配率5%は十分可能と考えられる。「資産上方修正作戦」で、増配率10%以上を狙うこともできる。
これらの点を考慮しても、累進配当ブラザーズのような優良な高配当株を対象とする高配当株投資については、個別株リスクはかなり低いと考えています。
個別株リスクがあるぞと言われれば、それはありますから(個別株リスクはゼロにはならないですから)、危ないと思ってしまいがちです。
だけど、そこで思考停止せず、具体的な高配当株企業の社名を見て、30年後に存在しているのか・配当金が減少しているのかを冷静に落ち着いて自分で考えてみれば、
累進配当ブラザーズのような優良高配当株に関する個別株リスクは、当たり前に相当低いのではないでしょうか。
以上の理由から、1億円をつくる方法として、高配当株投資を選択する価値が十分にあると考えます。
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まとめ
今回は、1億円をつくる方法として、以下の方法を検討してみました。
・貯金
・インデックス投資
・グロース株投資
・高配当株投資
検討の結果、1億円達成までの年数が相対的に早いことや、実現可能性の高さなどの理由から、1億円をつくる方法として、高配当株投資が最も有利であるとの結論になりました。
インデックス投資も優れた効果的な投資法であることに、変わりはありません。
ですが、そこから一歩踏み出して高配当株投資を行うことで、さらに大きな果実が得られます。
高配当株投資で1億円を狙う方法は、
累進配当ブラザーズのような優良かつ超大型の高配当株に投資してリスクを低く抑えつつ、
高い配当利回りの配当金を受け取りながら、
毎年の増配とその増配による株価上昇をゆったりと楽しむことができる、
こういった点が非常に魅力的です!
ゆるやかに配当生活中のショウでした!

