【立会外分売は買いか?】キムラ(7461) <2025年2月実施>

卸売業

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから卸売業種のキムラです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

【PR】手数料無料でワン株買付!マネックス証券

  • 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
  • 立会外分売の魅力
    • 前日終値より安く購入可能
      • 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。
        (ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
    • 買付手数料はかからない
      • 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
    • 即日売却OK
      • 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
  • デメリット:抽選で外れることもある
    • 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。

立会外分売の概要

まとめ

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ2/20(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年 2 月 21 日(金)~ 28 日(金)
分売数量100,000
(発行済み株式総数 15,180,000 株の約0.65%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:キムラ(7461) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

  • 一定数量の売却意向があり、検討した結果、同社株式の分布状況の改善および流動性の向上を図るため

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.65%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は34.8百株、25日平均は17.8百株(2/19時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,000百株)は、1日の出来高(25日平均:17.8百株)の約56倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

ご参考までに、この会社は、2023年1月、2024年5月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
1週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2023/
1/17
155382.89532
(-1.1)
534
(-0.7)
539
(1/24)
+1
(+0.2)
2024/
5/23
4902.97500
(+2.0)
496
(+1.2)
500
(5/30)
+10
(+2.0)
表2:キムラ 前回と前々回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付又は大引分売日1週間後の寄付で売却した場合の騰落率は、

前々回-1.1+0.2で、前回+1.2~+2.0%の結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【ご参考】

前回(2024年5月)の記事:【立会外分売は買いか?】キムラ(7461) <2024年5月実施>

前回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】大英産業(2974)、ヤマザキ(6147)、キムラ(7461)

前々回(2023年1月)の記事:【立会外分売は買いか?】キムラ(7461)

前々回の振り返り:【結果検証:立会外分売は買いか?】巴川製紙所(3878)、キムラ(7461)、ニューテック(6734)

どんな会社?

1946年(昭和21年)の創業以来、住宅資材総合商社として、

住宅資材の卸売業、不動産事業のほか、子会社におけるホームセンターの経営、住宅足場リースなど、住まいに関する幅広い分野で事業展開している会社です。

事業セグメントは、「卸売事業」「小売事業」「不動産事業」「足場レンタル事業」「サッシ・ガラス施工事業」の5つがあり、それぞれ、

  • 卸売事業
    住宅用資材及びビル用資材等の販売
  • 小売事業
    建築資材、DIY用品、日用雑貨等の販売を行うホームセンターの運営
  • 不動産事業
    不動産の賃貸及び販売
  • 足場レンタル事業
    建築足場のレンタル
  • サッシ・ガラス施工事業
    アルミサッシなどのガラス製品の販売、加工及び施工

を行っています。

2024年3月期通期のセグメント別売上高売上高構成比は、

  • 卸売事業 29.6%
  • 小売事業 63.6%
  • 不動産事業 1.2%
  • 足場レンタル事業 1.7%
  • サッシ・ガラス施工事業 3.8%

となっており、ホームセンター運営の小売事業が6割強を占めています。

直近の経営概況

経営状況

【2025年3月期3Q(2024年4月~12月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年2月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2024年3月期
3Q累計
270
(△2.5)
1,854
(△13.3)
1,979
(△12.1)
1,041
(△14.2)
2025年3月期
3Q累計
277
(2.7)
1,685
(△9.1)
1,778
(△10.1)
942
(△9.5)
2025年3月期
通期会社予想
350
(3.0)
1,850
(2.0)
2,030
(2.4)
1,090
(5.7)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
79.291.087.586.4
表3:キムラ 2025年3月期3Q経営成績と2025年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は微増利益面は1割前後の減益でした。

今期(2025年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は微増~1割弱増を見込んでいます。

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は8割でそこそこですが、利益面は9割前後で順調です。

【2025年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社の関係する住宅業界は、職人不足や原材料価格の高騰、円安による仕入れコストの上昇もあり、住宅価格が以前より高額となっています。

また、人口減少の影響から新設住宅着工戸数が弱含みで推移しており、先行きは極めて不透明厳しい経営環境であると同社は考えています。

このような状況のもと、同社グループでは、卸売事業における新商品開発と販売強化小売事業における各種サービスの拡充による顧客満足度の向上に努めました。

これらの結果、当3Q累計の業績は、表3の数値の前年同期比 増収減益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「小売事業」「卸売事業」「不動産事業」前年同期比 増収減益

「足場レンタル事業」「サッシ・ガラス施工事業」増収増益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
卸売82.9
(0.3)
731
(△1.8)
小売173
(2.3)
975
(△12.5)
不動産3.9
(23.9)
194
(△2.8)
足場レンタル6.4
(29.9)
53
(67.5)
サッシ・
ガラス施工
10.8
(8.4)
131
(36.1)
表4:2024年3月期通期 セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

卸売事業

住宅市場は、資材価格の高騰や職人不足の影響などから、新設住宅着工戸数は減少傾向で推移しています。

4月から12月までの新設持家着工戸数は全国で170,383戸(前年同期比0.9%減)、北海道で6,593戸(同3.5%減)と全国、北海道ともに前年を下回っており、今後も厳しい状況が続くものと予想しています。

このような状況のもと、ダクトレス全熱交換換気システム「Air save」などの換気関連商品を中心とした販売強化と適正価格による販売に努めましたが、

基幹システム更改等の経費増加を埋めきれず前年同期比 増収減益となっています。

小売事業

ホームセンター業界は、個人の節約志向は根強く、引き続き同業他社、他業種との競争の激化が続いています。

このような状況のもと、顧客満足度の向上接客力の強化による他店との差別化に努めましたが、

人件費増等による経費増加を埋めきれず前年同期比 増収減益となりました。

不動産事業

賃貸資産の適切な管理と効率的な運用を心掛けています。

足場レンタル事業

業務の効率化による生産性の向上と経費削減に努めており、

中高層向け次世代足場への取り組みが堅調に推移しました。

サッシ・ガラス施工事業

工事現場での設計、監理、施工の基本を徹底することで業務の効率化に努めており、賃貸物件や商業施設の受注が堅調に推移しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年3月期3Q末時点で49.7%と前期末(57.0%)から7.3ポイント低下しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

  • 負債 +4,404
    • 流動負債 +2,679
      (内訳)支払手形及び買掛金 +1,075電子記録債務 +247短期借入金 +1,038
    • 固定負債 +1,724
      (内訳)長期借入金 +1,572資産除去債務 +171
  • 純資産 +823
    • 株主資本 +734
      (内訳)利益剰余金 +734
    • 非支配株主持分 +172

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年3月期通期)業績の見通し】

各事業別分野における施策は以下の通りです。

卸売事業

人口減少が進む国内では住宅需要の低迷は避けられず、原材料価格やエネルギー資源の高騰も生じており、コスト面で厳しい状況が続くものと見込んでいます。

このような環境において、換気関連商品を中心に販路拡大・売上増強に注力した営業活動を進める計画です。

小売事業

本州系大型店の出店や業態を超えた販売競争もあり、依然として厳しい経営環境が続くものと思われます。

このような環境において、顧客へ価値あるサービスを提供し、リアル店舗の強みを活かして売場の進化を図っていく方針です。

全ての部門で顧客からの要望に応えられる専門知識の提供に努めています。

不動産事業

不動産動向の情報収集を行うとともに、所有不動産を活性化させて収益確保を目指しています。

足場レンタル事業

戸建住宅向けから中高層向け足場施工への営業戦略上のシフトにより、幅広い顧客へ安心・安全を提供し更なる事業拡大に努めています。

また、施工の標準化と技術指導、安全パトロールを強化して施工力の向上を図っています。

サッシ・ガラス施工事業

キムラグループとしてのシナジー効果を十分に発揮し、業容拡大を図る方針です。

株価指標と動向

株価指標

【2024/2/19(水)終値時点の数値】

  • 株価:502円
  • 時価総額:76.2億円
  • PER(株価収益率(今期予想)):6.82倍

PERは、同業で時価総額が近い、クワザワホールディングス(8104) 8.5倍、杉田エース(7635) 11.5倍、北恵(9872) 9.8倍と比較すると、低い水準です。

  • PBR(株価純資産倍率):0.47倍
  • 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
  • 年間配当金(会社予想):14円(年1回 3月)、利回り:2.78%(配当性向 19.1%)

配当利回りは2.78%で、東証スタンダードの単純平均2.53%(2/19時点) と比較するとやや高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~14円で推移しており、

配当性向は、10%台後半~20%で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年3月期1018.7
2021年3月期1216.9
2022年3月期1316.2
2023年3月期1416.0
2024年3月期1420.1
表5:キムラ 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する安定的な利益還元を経営の重要課題と考えており、経営基盤の強化・拡大に努めることにより、業績に応じた適正な配当を継続的に行うことを基本方針としています。

また、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

510~570円のレンジ内での推移でしたが、「令和のブラックマンデー」と重なる2024年7月末~8月上旬に急落し、安値(436円)をつけました。

そしてその後は値を戻し500~540円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

昨年11月に安値(497円)をつけた後は上昇基調で推移し、今年1月に高値(539円)をつけました。

しかしその後は調整しており、今回の立会外分売と今3Q決算発表が2/12のザラバ(取引時間)中にあり、立会外分売による短期的な需給悪化を警戒され、出来高を伴い前日比 17円安(-3.26%)と急落しました。

今後の株価は、昨年11月つけた安値(497円)や10月につけた安値(494円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

  • 今期(2025年3月期)3Qの業績は、主力の小売事業で、顧客満足度の向上接客力の強化による他店との差別化に努めたが、人件費増等による経費増加を埋めきれず
    前年同期比 増収減益で、売上高は微増利益面は1割前後の減益
  • 今期通期予想は、主力の小売事業で、顧客へ価値あるサービスを提供し、リアル店舗の強みを活かして売場の進化を図っていき、
    前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は微増~1割弱増を見込む。
  • その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は8割でそこそこだが、利益面は9割前後で順調

【株主還元】

  • 今期の配当利回り(会社予想)は2.78%(2/19時点) で、東証スタンダードの単純平均 2.53%(2/19時点) と比較するとやや高い水準
  • 直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~14円で推移しており、
    配当性向は、10%台後半~20%で安定
  • 会社の還元方針は、株主に対する安定的な利益還元を経営の重要課題と考えており、経営基盤の強化・拡大に努めることにより、業績に応じた適正な配当を継続的に行うことを基本方針としている。

【流動性・分売数量】

  • 直近の出来高の5日平均は34.8百株、25日平均は17.8百株(2/19時点)で、流動性は低い水準
  • 分売数量は、発行済み株式総数の0.65%少ない数量で、
    この銘柄の1日の平均的な出来高の約56倍であり、それからすると多めの数量

【株価モメンタム】

  • 週足ベースの株価は、510~570円のレンジ内での推移していたが、2024年7月末~8月上旬に急落安値(436円)をつけた。
    そしてその後は値を戻し500~540円のレンジ内で推移している。
  • 直近の株価は、昨年11月に安値(497円)をつけた後は上昇基調で推移し、今年1月に高値(539円)をつけた。
    しかしその後は調整しており、今回の立会外分売と今3Q決算発表が2/12のザラバ中にあり、立会外分売による短期的な需給悪化を警戒され、出来高を伴い前日比 17円安(-3.26%)と急落した。
  • 今後の株価は、昨年11月つけた安値(497円)や10月につけた安値(494円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか要注目。

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

タイトルとURLをコピーしました