土地売却における確定申告書作成は?手順や必要書類について解説

不動産売却

土地売却後の確定申告をどのように行うかわからずに悩んでいませんか?

初めて確定申告を行う方にとって、確定申告書はどのように書くのか、どの書類を準備すれば良いのかなど、不安に感じることが多いでしょう。

書き方や確定申告の手順、必要な書類などを事前に把握しておくことで、スムーズに確定申告を進めることができます。

この記事では、以下の内容について解説しています。

  • 土地売却における確定申告書作成
  • 確定申告の手順
  • 確定申告をする際の注意点

1、土地売却における確定申告書の書き方

土地売却後の確定申告書は、売却に伴う収入や費用、控除などを記載して、税額を正しく計算し申告するための重要な書類です。これらの書類を正しく作成することで、税務署に正確な情報を提出し、金額を確定させることができます。

確定申告書には主に以下のような書類が含まれます:

  • 申告書第一表【令和5年分以降用】
  • 申告書第二表【令和5年分以降用】
  • 申告書第三表(分離現金用)

これらの書類は、どのような収入や権利があるのか​​税務署に正確に伝えるための書類です。これらを正確に記載しないと、支払額に誤差が生じたり、それに伴いペナルティが発生したりするリスクがあるので注意が必要です。

以下では、それぞれの書類ごとに記入する具体的な項目や方法を画像付きで詳しく解説します。

これにより、どの部分をどのように記載するのかが明確になりますので、確定申告書の書き方をしっかりと理解しましょう。

国税庁:申告書第一、二表【令和5年分以降用】

(1)申告書第一表【令和5年分以降用】

ここでは、「申告書第一表【令和5年分以降用】」の書き方を解説します。

まず、「申告書第一表【令和5年分以降用】」については、「申告書第二表【令和5年分以降用】」の後に作成することをおすすめします。

なぜなら、「申告書第二表【令和5年分以降用】」を作成してしまえば「申告書第一表【令和5年分以降用】」の半分ほどを作成することができるからです。

早速、「申告書第一表【令和5年分以降用】」の解説に入ります。

【記載項目】

  • 納税地
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 生年月日
  • 住所
  • 氏名・フリガナ
  • 職業
  • 屋号・雅号
  • 世帯主の氏名
  • 世帯主との続柄
  • 電話番号
  • 収入金額等の欄(該当部分のみ)
  • 所得金額等の欄(該当部分のみ)
  • 所得から差し引かれる金額の欄(該当部分のみ)
  • 税金の計算の欄(該当部分のみ)
  • 延納の届出(納税を2回に分ける場合のみ)
  • 還付される税金の受け取り場所

(2)申告書第二表【令和5年分以降用】

ここでは、申告書第二表の書き方を解説します。申告書第二表は全ての結果と免除を記載する基本的な書類になるため、記入漏れがないように注意しましょう。

そして、前述の通り、「申告書第二表【令和5年分以降用】」を作成しておくと「申告書第一表【令和5年分以降用】」を簡単に作成することができます。そのため、先に「申告書第二表【令和5年分以降用】」を作成することをおすすめしています。

【記載項目】

  • 整理番号
  • 住所・名前
  • 社会保険料控除(国民年金・国民健康保険等)
  • 生命保険料控除
  • 本人に関する事項
  • 雑損控除に関する事項(盗難・災害等での損害)
  • 所得の内訳(会社ごとの収入金額と源泉徴収額)
  • 総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項(ゴルフ会員権を売ったときの所得等)
  • 寄付金控除に関する事項
  • 配偶者や親族に関する事項
  • 事業専従者(従業員である家族)に関する事項
  • 住民税・事業税に関する事項

また、「会社を辞めた」「副業をしている」場合は源泉徴収で前払いしている可能性が高いので、支払調書を入手する必要があります。

(2)申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】

ここでは、申告書第三表(分離課税用)の書き方を解説します。申告書第三表は、土地売却などの譲渡結果に関する分離課税用の書類です。

また、後述されている「譲渡結果の内訳書(確定申告書兼計算明細書)」の記入に関する内容を確認した後に、申告書第三表を記入するとスムーズに書類を作成することができるでしょう。

申告書第三表(分離課税用)

【記載項目】

  • 住所・氏名
  • 収入金額
  • 所得金額
  • 税金の計算

2、土地売却における確定申告の手順

土地売却後の確定申告は、基本的な流れを理解することが大切です。何を準備する必要があるのか、どのように申告を進めればよいのかを理解した状態で着手することでスムーズに確定申告をすることができます。

そこで、ここでは下記内容に従って、土地売却における確定申告の手順を解説します。

  1. 譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)を記入する
  2. 土地売却における確定申告で必要な書類を集める
  3. 申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】を記入する
  4. 申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】を記入する
  5. 税務署から納付税額または還付税額の通知が届いたら支払う

(1)譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)を記入する

「譲渡所得の内訳書」は、土地売却の確定申告で最初に取り組むべき書類です。

この書類では、土地売却に係る譲渡金額や取得費、譲渡費用を細かく記載する書類です。 譲渡所得や税額の計算が進められるため、確定申告の根幹となるものなので、非常に重要になります。

そのため、売買契約書や見積書、仲介手数料の明細などの資料を確認しながら、正確に記入することをおすすめします。

①譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書)の書き方

ここでは、譲渡所得の内訳書の書き方について解説します。

全部で4面ありますが、基本的には3面までの記入で問題ありません。それでは、1面ずつ画像を用いて説明します。

国税庁:譲渡所得の内訳書

【譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)1面の書き方】

譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)1面には下記内容を記載します。

  • 住所・氏名・電話番号・職業
  • 関与している税理士名・電話番号

【譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)2面の書き方】

譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)2面には下記内容を記載します。

  • 譲渡した土地の所在番地
  • 土地・建物の種類や広さ
  • 譲渡する土地・建物の利用状況
  • 買主の住所・氏名・職業
  • 譲渡価格の総額
  • 土地・建物の代金の受領状況(日にちや金額)
  • 土地・建物の売却理由

【譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)3面の書き方】

譲渡所得の内訳書(確定申告書兼計算明細書)3面には下記内容を記載します。

  • 土地・建物の購入先、購入年月、購入代金
  • 手数料等の支払先、支払年月日、支払金額
  • 区分(短期or長期)
  • 譲渡所得金額

(2)土地売却における確定申告で必要な書類を集める

土地売却における確定申告では、様々な書類が必要になります。これらの書類を事前に準備することで、申告手続きがスムーズに進み、トラブルを未然に防ぐことができます。

確定申告に必要な主な書類は以下の通りです。

▼譲渡所得の計算で必要になる書類

  • 売買契約書(コピーでも可)
  • 不動産の取得費、取得にかかった費用の明細書
  • リフォームのような改良費用の明細書
  • 不動産の測量図や登記簿謄本

▼税金計算に必要になる書類

  • 前年度の確定申告書
  • 不動産取得時の諸経費の領収書
  • 地価公示価格や固定資産税評価額の通知書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 確定申告書B様式(譲渡所得がある場合)
  • 確定申告書第三表(分離課税用の申告書)

▼その他の書類

  • 住民票の写し
  • 所得証明書
  • 銀行口座の情報(振込先情報)
  • マイナンバーがわかる書類

必要な書類を予め準備することで、確定申告をスムーズに進めることができるでしょう。

(3)申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】を記入する

申告書第一表・第二表は、確定申告の基礎となる重要な書類で、土地売却による譲渡結果を含めた結果全体を記載し、税額を計算します。

申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】の記載項目は前述した通りなので、確認しながら記載を進めていくと良いでしょう。

(4)申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】を記入する

申告書第三表(分離課税用)は、土地や建物などの譲渡結果を申告するための書類です。

この書類では、譲渡結果の計算結果を基に金銭対象額を算出するもので、該当する結果を正確に申告するために必要なものとなります。

申告書第三表(分離課税用)【令和4年分以降用】の記載項目も前述した通りです。書き方や記入する数字に間違いがないか確認しながら作成しましょう。

(5)税務署から納付税額または還付税額の通知が届いたら支払う

確定申告が完了すると、税務署から納付税額または還付税額の通知が届きます。 納税が必要な場合は、期限内に税務署や金融機関で支払いを忘れないようにしましょう。

納付期限は確定申告の提出期限と同じ3月15日(通常の場合)までです。期限を過ぎて延滞税や加算税が発生する可能性があるため、忘れずに対応しましょう。

また、還付金が発生する場合は、申告書に記載した銀行に振り込まれます。 なお、振り込みには通常1~2か月程度かかるため、通知の内容を確認しながら待ちましょう。

不備を防ぐためにも、申告時の記載内容を事前にしっかりと確認することが大切です。

3、土地売却における確定申告をする際の注意点

土地売却における確定申告をする際には、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。注意点を理解しておくことで、ミスなく確定申告をすることができるようになり、余計な税金を支払う心配もなくなるでしょう。

ここでは、下記3つの注意点について解説します。

  1. 電子申告をするか紙で申告をするか
  2. 自分で確定申告をするか税理士に確定申告を依頼するか
  3. 消費税がかかると仲介手数料が高くなる

(1)電子申告をするか紙で申告をするか

確定申告では、電子申告(e-Tax)と紙の申告のどちらかを選択できます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の状況や作業スタイルに合わせて選ぶことが重要です。

電子申告は、処理が迅速で、還付金の振込までの期間が短い点が特徴です。また、デジタルデータでの申請は記入ミスのチェックが簡単で、手続きの効率が向上します。ただし、インターネット環境やパソコンの操作が必要なため、不慣れな方には扱いが難しいというデメリットもあります。

一方、紙の申告は、書類を手書きで作成し、自分のペースで確認しながら進められるのが特徴です。 なお、紙での申請は税務署への持参や郵送が必要で、処理に時間がかかりますし、修正が発生すると再提出が必要になることもあります。

自分がやりやすいやり方で進めることにより、期限内に確定申告を終わらせやすくなるでしょう。

(2)自分で確定申告をするか税理士に確定申告を依頼するか

土地売却に伴う確定申告は手続きが複雑であり、多くの人が税理士に依頼しています。税理士に依頼すると、計算ミスや漏れ申告などのリスクを軽減できるため、初めて確定申告を行う方や高額な土地を売却した場合に頼ると良いでしょう。しかし、費用がかかってしまうので、実際にどれくらいの費用なのかを知ったうえで相談することをおすすめします。

一方、自分で申告を行う場合は、税理士への手数料が不要になるため、費用を抑えられるというメリットがあります。 なお、申告内容の確認や計算は全て自分で行う必要があるので、莫大な時間と労力がかかるので注意が必要です。 

税理士に依頼するかどうかは、自身の税務知識や売却額の規模、必要な特例の枠、費用などを考慮して選択すると良いでしょう。

(3)消費税が増税すると仲介手数料が高くなる

土地売却時に仲介手数料は、「(売買価格の3%+6万円)」が上限とされており、これに消費税が加算されます。そのため、増税が行われると、その分の負担額が増える仕組みになってしまうのです。

例えば、売買価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は「90万円(売買価格の3%)+6万円+消費税(10%)=105.6万円」となります。

仮に消費税12%になった場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円+消費税(12%)=107.52万円」となるので、支払額が増加してしまうのです。

以上のように消費税が増税すると仲介手数料が高くなってしまいます。そのため、政策として増税する見込みがある場合は、増税する前に土地売却をすることをおすすめします。

不動産売却時の税金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

不動産売却時にかかる3つの税金|節税方法や注意点などを解説【税理士監修】

土地を売却したときの確定申告についてQ&A

土地を売却した際の確定申告に関するよくある質問とその回答を以下にまとめました。

Q1: 土地を売却した場合、確定申告は必要ですか?

はい、土地を売却して譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要です。譲渡所得とは、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた金額を指します。ただし、譲渡損失が発生した場合でも、特例を適用するために確定申告が必要となることがあります。

Q2: 確定申告が不要な場合はありますか?

譲渡所得が発生しない場合、つまり売却価格が取得費や譲渡費用を下回り、損失が出た場合は確定申告が不要です。ただし、損失が出た場合でも、他の所得との損益通算や繰越控除を受けるためには確定申告が必要です。

Q3: 確定申告の期限はいつですか?

土地を売却した年の翌年2月16日から3月15日までが確定申告の期間です。例えば、2024年中に売却した場合、2025年2月16日から3月15日までに申告を行います。

Q4: 確定申告を行わないとどうなりますか?

確定申告を行わない場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。また、特例や控除を受けられず、結果的に税負担が増えることもあります。適切な時期に申告を行うことが重要です。

Q5: 確定申告は自分で行えますか?

はい、自分で行うことは可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力することで申告書を作成できます。ただし、手続きが複雑な場合や不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

また、税務署では確定申告期間中に相談窓口を設けています。事前に予約が必要な場合もあるため、最寄りの税務署に確認してください。

税金については、税理士・会計士の専門家に相談するのもよいでしょう。

もし税理士の知り合いがいない場合には、インターネットで「税理士 不動産売却消費税」などのキーワードで検索して探すことをオススメします。

以下のサイトでは、無料で税理士費用の見積もりや費用の比較ができます。ぜひ利用してみてください。

まとめ

この記事では、土地売却後の確定申告について、書き方や記載手順、注意点などを解説しました。 確定申告は、必要書類の準備や正確な記載が重要になります。今回の内容を参考に、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。 

土地売却における確定申告で必要な書類や確定申告書の書き方を知ることで、納税や還付手続きがスムーズに進み、安心して確定申告を行うことができるでしょう。

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