一棟マンションの売却を成功させるには、最適なタイミングを選ぶことが非常に重要です。市場の動向や経済の変化、建物の状態など、さまざまな要因が売却価格やスムーズな取引に影響を与えます。
特に不動産市場が活発な時期や、住宅ローン金利が低いときには、購入希望者が増え、売却条件が有利になることがあります。また、築年数や賃貸状況、税制の優遇措置なども、売却の時期を左右する大切な要素です。
この記事では、マンション売却を検討する際に考慮すべき市場の動向や経済の状況、個別の賃貸状況など、具体的なポイントを詳しく解説し、最適な売却タイミングを見つけるための実践的なアドバイスを提供します。適切なタイミングでの売却が、資産の最大化と将来の安定に繋がるかもしれません。
失敗しない一棟売却、後悔しない一棟売却のため、そして一棟マンション投資を成功させるため、ぜひこの記事の情報をお役立てください。
商業用不動産価格の推移については下記の記事もご覧ください。
一棟マンション売却の出口戦略の一つは、一括査定サイトなどを利用して複数の業者に査定を依頼することです。その他に建物の管理状態を良好に保ち、稼働率を上げておくことも重要です。
1、一棟マンション売却は重要な出口戦略
一棟もののマンション経営をしているオーナーにとって、マンションの一棟売却は「最後のひと仕事」です。一棟マンションとなると、売買価格は億単位になることが普通なので、大きな金額の取引になります。それだけに期待通りの価格で売れなかったとなると、マンション投資そのものの収支に大きな影響を及ぼします。
仮に、満室経営またはそれに近い状態の経営ができていたとしても、一棟売却に失敗してしまうと賃貸経営の利益が吹き飛んでしまう可能性もあるのです。
それだけに、マンションオーナーにとって出口戦略である一棟売却はとても重要な意味を持ちます。
(1)区分マンション売却との違い
マンション投資には、一棟に対する投資と、部屋単位の区分マンション投資の2種類があります。
売却時に考えられる大きな違いは、売却価格が億単位になること、また買い手が収益不動産を求めている不動産会社や投資家となり、すぐに見つからないこともあるという点です。
区分マンションであれば売却価格は数千万円レベルであり、自己居住目的で個人が買い手となる場合もあるので流動性が高く、一棟マンションと比べると買い手を見つけやすいでしょう。
それだけに一棟マンションの売却は、しっかりと戦略立てて臨む必要性が高いのです。
(2)一棟マンションの市況と売却額の相場
一棟もののマンション・アパートの売却額は上昇傾向です。
出典:国土交通省「不動産価格指数(令和4年12月・令和4年第4四半期分)」
コロナ禍以降、日本の不動産市場に流れ込んだ海外マネーが一棟ものの売却市場を活況にしています。
最新の売却額の相場も国土交通省のサイトから確認することが可能です。エリアごとに、取引された実績ベースの価格が掲載されています。
保有する物件の周辺エリアを指定し、売却額の大まかな相場を知っておくことをおすすめします。
2、一棟マンション売却のタイミング
一棟マンション投資の出口戦略を実行するタイミングは、いつが良いのでしょうか。
(1)築15年以内であること
他の不動産と同様、一棟マンションも築年数が浅ければ浅いほど高く売却できる傾向にあります。
さらに築15年までの価格下落率は比較的緩やかであるため、築15年をむかえる前に売却することが1つの目安だと言われています。
(2)減価償却期間が終わるとき
減価償却とは、「資産は時間が経つにつれて、価値が減っていく」という考え方で、減価償却の対象となる資産により、「耐用年数」が決まっています。
参考資料:耐用年数(建物/建物附属設備)
不動産事業で減価償却資産となるのは、建物だけでなく建物の付帯設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機など)も対象になり、資産の種類により年数が異なります。建物も付帯設備も、耐用年数が終わると経費として計上ができないため節税にならず、手元に残るキャッシュが減っていくのです。したがって、建物や付帯設備の減価償却期間が終わる前が、一棟マンションの売却を検討するタイミングと言えます。
減価償却については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(3)周辺環境の変化をチェックする
不動産の価値は、周辺の環境によっても変化しますが、特に一棟マンションは立地の良さにより価値が大きく変わります。
交通アクセスの改善や大企業の移転など、周辺環境が良くなるような場合は、すぐに売却せずに価値が上がるタイミングで売却する方がメリットが大きいでしょう。
反対に、現在よりも立地条件が悪くなる見込みがある場合には、できるだけ早いタイミングでの売却を検討するべきでしょう。
3、一棟マンションの売却方法
マンションを売却する方法は、一般的に
- 仲介
- 買取これらの方法は「誰に売却するか」によって分けることができます。
仲介は、不動産業者に買い手探しを依頼した上で、見つかった買い手との交渉や引き渡しの手続きなどについてサポートをしてもらう売却形態です。仲介の中でも、どの程度まで不動産業者に深く依頼するかによって、に分類されます。
- 専任媒介
- 専任専属媒介
- 一般媒介
どのような違いがあるか解説します。
(1)仲介(専任媒介)
一棟マンションの売却を希望している売主が、不動産業者に専属的に買い手探しを依頼する契約です。売主は他の不動産業者に同じ物件の買い手探しを依頼することはできないので、専任媒介と呼ばれます。
売主が他の不動産業者に重複して依頼していないことが分かっているため、不動産業者の営業努力が徒労に終わる可能性がないことから、熱心に活動をしてくれることが期待できます。
また、専任媒介契約を結んだ場合は、7日以内に不動産流通機構への情報登録や2週間に1回の報告の義務があるので、早く、より確実に売却したいという場合に有効です。
(2)仲介(専属専任媒介)
専任専属媒介は、専属媒介の内容を厳しくした形の契約と言えるでしょう。
専任専属媒介では、売主が自分で探した買主と直接契約をすることができない、という点が他の2つの仲介方法と大きく異なります。
その他に専任媒介と異なる点として、5日以内に不動産流通機構へ情報登録すること、1週間に1回の依頼主への報告義務があることがあげられます。
(3)仲介(一般媒介 )
専任媒介とは違って、複数の不動産業者に依頼できる媒介契約です。売主はどの業者に依頼しても良いので自由度は高いですが、そのことに対して業者が熱心になりにくく、早めの売却を希望する場合には不向きです。「いつか買い手が見つかれば」という程度の熱意で売りに出すのであれば、一般媒介なら不動産業者を変更するのも自由なので気楽に構えることができます。 ただし、不動産の売却は情報の鮮度が命です。
複数の不動産業者から物件の広告が出されて、それが続くとなると出回り物件として知られてしまい、それが長引くほど売却しにくくなるデメリットがあります。
(4)買い取り
仲介に対して、不動産業者が買い手となって一棟マンションを売却する方法です。一棟マンションを専門的に買い取っている不動産業者も多数あり、業者間の競争も活発です。 買い取りのメリットは、仲介と違って確実に買い手が見つかることや瑕疵担保責任がないこと、人に知られることなく売却できることなどですが、売却価格は仲介よりも低くなります。
市場流通価格の60%程度とも言われているので、売却価格で妥協したくないという場合は難しいかも知れません。
4、一棟マンションを売却するまでの流れ
マンションの一棟売却を思い立ち、実際に引き渡すとなると、それまでの流れが気になるのではないでしょうか?
大まかな流れとしては以下の通りです。
- 目標売却価格を大まかに設定する
- 不動産業者に査定を依頼
- 仲介の依頼
- 一棟マンションの売り出し
- 買い手候補との交渉
- 物件情報開示
- 売買契約の締結
- 一棟マンションの引き渡し
- 確定申告
本章ではマンションを一棟売却するまでの流れについて説明します。
(1)目標売却価格を大まかに設定する
最初に、売却したい一棟マンションにどれくらいの価値があるのかという相場観から、目標売却価格を設定します。 「すまいvalue」は、不動産投資の教科書が最もおすすめする不動産売却・査定サイトです。
参加企業は6社と少ないですが、その企業は
- 三井不動産リアルティ
- 東急リバブル
- 住友不動産販売
- 野村不動産ソリューションズ
- 三菱地所ハウスネット
- 小田急不動産
と超大手です。一棟マンションは売却価格がかなり高額であるため、大手に任せた方が安心するという理由で利用する方が多い不動産売却・査定サイトとなっています。
口コミが気になる方は、「すまいvalueの口コミや評判は?不動産大手6社が運営するメリット・デメリットも紹介!」をご覧ください。
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(2)不動産業者に査定を依頼
一棟売却したいマンション価格の査定を不動産業者に依頼します。
この際、どの不動産業者にするべきか悩むところですが、査定依頼の段階では費用も発生せず、売りに出されることはありません。
一括査定依頼サイトを利用してみて、誠実な対応をしてくれる業者に絞り込むという方法も有効です。
しかし、これだけでは本当に信頼できる不動産業者に出会えるかどうかは分かりません。
一棟マンションは売却価格が高額になるため、業者選びにもこだわりたいところです。
(3)仲介の依頼
依頼したい不動産業者が決まったら、その業者に仲介を依頼します。
買い取りによって一棟売却をするのであれば仲介契約は必要ありませんが、多くの場合は仲介によって買い手を探すことになると思いますので、ここで正式に仲介の依頼をします。
仲介の依頼方法は「専任媒介」「専任専属媒介」「一般媒介」がありますが、売却の意思がある程度固まっているのであれば、より確実な専任媒介がおすすめです。
(4)一棟マンションの売り出し
目標売却価格や不動産業者の査定額、さらに周辺の取引事例などを考慮しながら売り出し価格を決め、その価格で売り出しを行います。
(5)買い手候補との交渉
売り出しをしている一棟マンションに対して問い合わせや購入希望があったら、買い手候補との交渉を行います。購入側は少しでも安く買いたい、売却側は少しでも高く売りたいという利害関係にあるので、交渉によってその落としどころを探ります。
価格以外にも引き渡しの条件など、トラブルを未然に防ぐために細かい部分についても交渉の俎上に上がります。
(6)物件情報開示
交渉成立、売買契約を結ぶ段階になったら、買主にマンション物件の情報開示を行います。引き渡し後に不具合など都合の悪いことが発覚すると、トラブルの原因になるため、特に問題箇所については正確に情報を開示しましょう。
(7)売買契約の締結
物件情報開示の結果、売買に合意をしたら売主と買主による売買契約の締結に進みます。契約によって買主は明確に購入の意思表示をすることとなり、物件価格の一部を手付金として支払うのが一般的です。
(8)一棟マンションの引き渡し
最後に、売買代金の決済と一棟マンションの引き渡しを行います。マンションの引き渡しによって所有権も移転するため、そのための登記申請も必要です。
(9)確定申告
一棟マンションを売却した場合、売却での収益や経費などについて確定申告を行う必要があります。売却した翌年の確定申告期間に忘れずに行いましょう。
5、一棟マンション売却に要する費用
一棟マンション売却を完了するまでにかかる主な費用は、以下の通りです。
- 譲渡所得税(譲渡益に対する所得税)
- 仲介手数料(仲介によって売却した場合)
- 印紙税
その他にも、融資を受けていて売却代金で一括返済をする場合は、繰り上げ返済手数料が必要になります。
費用についての詳細は、「不動産売却でかかる4つの費用|手数料や各種税金について解説」で詳しく解説していますので、併せてお読みください。
6、一棟マンション売却の価格を決める要因
マンションなどの不動産を売却したことがない方にとっては、売却価格が決まる要因について詳しくご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこで、一棟売却時に売却価格を決める主な要因を解説します。少しでも高く売るために、できることは努力を惜しまず取り組んでおきたいものです。
(1)稼働率
一棟マンションは、投資不動産です。購入者も投資家であり、その一棟マンションが収益を生む不動産であることが最大の関心事です。
そのため、売り出し時の稼働率はマンション物件の価値に直結します。仮に売却時に入居している人が退去したとしても、稼働率の高いマンションは人気が高いと推測できるため、またすぐに新たな入居者が見つかるという期待値も高くなります。
稼働率が高い時が売り時であると言われているのもそのためで、稼働率が低下することが予測される場合は、稼働率が高いうちに一棟売却を検討するのも一考です。
(2)周辺環境
一棟マンションにとっての周辺環境は、賃貸需要に大きく影響します。将来において企業や商業施設の誘致、交通アクセスの改善など周辺環境にプラス材料がある場合は、そのプラス材料をいかした売却戦略が有効です。 こうしたプラス材料がある場合は買い手候補からの引き合いも増えるため、より有利な交渉が可能になるでしょう。
(3)外壁の美観
マンションの外観は、いわば「顔」です。顔のお手入れが行き届いていないマンションは賃貸需要も低下するため、投資不動産としての魅力も低下します。
定期的なメンテナンスによる美観の保持は、一棟売却の成否にも大きく関わるので、修繕や補修によって美観が保たれているマンションは高値で売却できる可能性が高くなります。
(4)室内設備、セキュリティなど
入居者にとってマンションの室内設備は、住み心地や利便性、安心感に関わる大切な要素です。浴室乾燥や洗浄式トイレ、そしてオートロックや機械式警備などセキュリティ設備が充実しているマンションは、一棟売却においてもプラス材料です。 ほかにも各種設備面で優位性がある場合は、売却時にその点をしっかりとアピールしましょう。
(5)マンションの管理状態
共有スペースや敷地内の清掃状態や美観は、そのマンションの管理状態や入居者の民度を計るバロメーターです。エントランスや共有スペースが汚れていたり、敷地内に雑草が生えていたりと「手入れが行き届いていない」ことが伝わってしまうと、買い手の購買意欲を削ぐことになります。
一棟マンション売却の際には小さな要素が売却価格の大きな差になってしまうので、好印象を与えられる管理状態が望ましいでしょう。
7、一棟マンションを高額で売却するコツ
一棟マンションを少しでも高額で売却するために出来ることは何でしょうか。より高額で売却するには、仲介してくれる不動産業者というパートナーの存在が不可欠です。
できるだけ高額でマンションを売却するコツや、たくさんある不動産業者の中で高額売却をかなえてくれる業者を見つけるためのポイントを紹介したいと思います。
(1)売却時に満室にしておく
マンションを高額で売却するためのポイント1つ目は、売却時にはできるだけ満室にしておくということです。これは、賃貸物件としての価値を高めておくという観点からとても重要であり、投資家が空室の多いマンションを欲しがる可能性が高いとは言い難いでしょう。
皆さんも同じ条件で、購入段階で空室のあるマンションと満室のマンションから選ぶとしたら、後者を選ぶのではないでしょうか。しかし、マンションを満室にするにはどうしたら良いのかと悩む方もいると思います。考えられる方法としては、入居を募集している不動産会社への報酬を上げて入居募集に一層力を入れることなどがあります。
また、更地での売却を提案されることもあるかもしれませんが、納得のいかない場合は不動産投資会社を選び直すことも選択肢のひとつになるでしょう。
(2)マンション一棟売却に強い業者に絞り込む
不動産業者には、それぞれ強みとしている物件が異なります。マンションの売却といっても、区分マンションの売却と一棟売却とでは買い手が異なるため、売却のノウハウも全く違います。数ある不動産業者の中でも、マンションの一棟売却に強い業者に絞り込みましょう。 その業者が一棟売却に強いかどうかは、実績を見せてほしいと依頼すればすぐに分かります。売却価格や売却に要した期間など、それぞれの事例で詳しい説明ができれば、その業者は一棟売却に強いと判断できます。
(3)一括査定サイトなどを利用して複数の業者に査定を依頼する
一括査定サイトの利用については賛否もありますが、少ない労力で複数の業者に査定見積もりを出せる便利さは見逃せません。複数の業者に査定依頼をする意味はもちろん、「他の業者のほうが有利な査定なら、そちらに依頼する」という構図を作ることができる点です。
それぞれ査定を依頼した業者が、少しでも高い見積価格を出してくる可能性が高くなるからです。 不動産投資の教科書がおすすめする不動産売却査定サイトを、3つご紹介します。
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無料の不動産売却一括査定サイトのなかで外したくないのが、不動産大手6社が共同で立ち上げた「すまいValue」です。
6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最多です。
参加している6社は、すべて全国的なネームバリューを誇る大手不動産業者で、「すまいVAlue」を利用した人の95.5% が安心感があると回答しています。
不動産を売却するときに、安心感を最優先させたい人におすすめの一括査定サービスです。
【2】SUUMO 【PR】
「SUUMO」は、株式会社リクルートが運営する一括査定サービスです。
全国に対応しており、提携社は大手から地域密着型まで幅広く、10社に査定を依頼できます。(※査定可能会社数は物件所在地によって異なります)複数社に査定を依頼することで適正な相場を知ることができるのは大きなメリットです。
相続やローンなど不動産を売却する際の注意点についてのサポート体制も充実しており、SUUMO売却査定の利用者満足度は91%。(2021年3月調べ)できるだけ多くの査定結果をもとに比較検討したい人におすすめの無料一括査定サービスです。
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注目すべき特徴として、売り手と買い手の双方の担当者となることを原則禁止し、売却専門・購買専門に組織を分けた「エージェント制度」が挙げられます。
仮に自社で買い手が見つかったとしても、業務や担当が完全に独立しているため、売却エージェント(担当)は100%売り手の要望にそって交渉にあたります。
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なお、SRE不動産はサービスエリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)が限られていますが、該当する場合はぜひおすすめしたいサイトです。
(4)自分で集められる情報は集めておく
事前に、ある程度の相場観を把握しておくことで不動産業者による査定の結果を判断しやすくなります。
相場観の把握方法については、「マンションを一棟売却するまでの流れ」で解説していますのでご覧ください。
(5)不動産業者との駆け引きで注意したいこと
長い付き合いのある不動産業者であればあまり心配はありませんが、初めてやり取りをする業者の場合は、ある程度の駆け引きを伴うことがあります。
例えば、最初にかなり高額な査定結果を出して媒介契約を取り付けたものの、やはり相場より高額なので売却先が見つからず、「相場が下落しているので売り出し価格を下げてほしい」と言われ、結局その業者に依頼した意味がなくなってしまったというケースが実際にあります。
このように期待していた通りの動きをしてもらえないと判断した場合は、不動産業者を変更することも有効な選択肢です。
(6)一棟を分割して売却する方法もある
相続対策や資金調達など、様々な理由で一棟丸ごとではなく一部のみ売却したいという場合も、一棟を分割するための区分登記を行い区分建物にすれば可能です。
一棟オーナーから区分オーナーになり、物件の一部を保有し続けることができます。
区分登記を行うためには、まず土地家屋調査士に建物部分の詳細が分かる図面を作成してもらう必要があります。一棟として登記されている建物を部屋ごと(または階ごとなど)に分割された区分建物にするためです。
さらに、土地に対しても区分建物の敷地であることが分かるよう登記します。
これら一連の区分登記には、数十万円の費用がかかります。費用がかかることを理解した上で、さらに上回るメリットがある場合は、区分建物への転換を考えてみるのが良いでしょう。
一棟マンション売却についてのQ&A
Q1: 一棟マンションの売却をするタイミングは?
- 築15年を迎えるとき(築15年までの価格下落率は比較的緩やかであるため)
- 減価償却期間が満了するとき(費用として計上できなくなりキャッシュフローが減少するため)
- 周辺環境に変化があったとき(立地条件が悪くなる見込みがある場合)
Q2: 一棟マンションを売却する方法は?
不動産仲介業者と媒介契約を結び買主を探す方法と、一棟物件を取り扱う買い取り業者に売却する方法の2種類があります。
売却の大まかな流れは、以下の通りです。
- 不動産業者に査定を依頼
- 仲介の依頼
- 売り出し
- 物件情報開示
- 買い手候補との交渉
- 売買契約の締結
- 引き渡し
- 確定申告
Q3: 一棟マンションを売却するのにかかる費用は?
一棟マンション売却を完了するまでにかかる主な費用は、以下の通りです。
- 譲渡所得税(譲渡益に対する所得税)
- 仲介手数料(仲介によって売却した場合)
- 印紙税
その他にも、融資を受けていて売却代金で一括返済をする場合は、繰り上げ返済手数料が必要になります。
Q4: 一棟マンションを高値で売却するためには?
- 建物の管理状態を良好にしておく
- 物件の稼働率を上げておく
- 一棟マンションの買い取りに強い業者を選ぶ
まとめ
一棟マンション投資の最終章となる、売却の重要性について解説してきました。マンション投資の出口戦略がいかに重要か、お伝えできたのではないでしょうか。
区分マンションと違って売買価格の規模が大きくなるため、些細なことが売却価格に大きな影響を与えかねません。戦略的な売り方をしたり、見せ方を工夫して、少しでも高値で売却したいものです。 一棟マンション売却の成功に記事の情報が役立ちましたら、幸いです。