FX初心者の方には、リアルトレードでどこでエントリーし、どこで決済すればよいかが分かりにくいと感じる場面が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、私が愛用している2つの代表的なテクニカル指標「ボリンジャーバンド」と「移動平均線」について、それぞれの特徴や使い方を丁寧に解き明かしていきます。
特に注目すべきポイントは、スクイーズ/エクスパンションの見極め方や、ゴールデンクロス・デッドクロスを用いたトレード判断、そしてレンジ相場とトレンド相場における使い分けの考え方です。
さらに、実際のポンド円チャートを使ったリアルトレードのエントリー例も紹介し、すぐに実践に活かせる内容に仕上げました。

まずは基本的な仕組みを理解し、そこから応用的な戦略へと発展させていくことで、より勝率の高いトレードを目指していきましょう。
これからFXを始める初心者に観てほしい動画です。
ボリンジャーバンドの特徴と実践的な使い方
エントリーと決済ポイントを可視化するボリンジャーバンドの構造
ボリンジャーバンドは、価格の統計的なばらつきをもとに構成されたインジケーターで、視覚的にエントリーと利確のポイントを把握できるのが特徴です。
以下のような構造を持っています。
- ±2σ・±3σライン:価格がこのバンドに到達すると、反発・反落する可能性が高まる
- センターライン(ミドルライン):20期間の移動平均線。価格の中間値を示し、利確や反転判断の目安に
- スクイーズとエクスパンション:バンド幅が狭くなるのがスクイーズ、拡がるのがエクスパンション。トレンド転換のサインとなる
この構造を理解することで、価格がどの位置にいるかを視覚的に判断し、レンジ相場やトレンド相場に応じた戦略を立てやすくなります。特に初心者の方は、反発やブレイクのポイントが明確になるため、根拠あるトレードの第一歩として有効です。
逆張りリスクと順張りチャンスを見極めるための注意点
ボリンジャーバンドは優れたインジケーターですが、使い方を誤ると逆張りのリスクを高める要因にもなります。
特にトレンド相場において、バンドがエクスパンションしているにもかかわらず、−2σや+2σにタッチしたことだけを根拠に逆張りすると、大きな損失に繋がる可能性があります。
私自身も初心者の頃、下降トレンド中に−2σ付近でロングを仕掛け、そのまま含み損が拡大するという経験を何度もしました。逆張りを狙う場合は、レンジ相場かトレンド相場かをしっかりと見極める必要があります。
一方で、スクイーズからエクスパンションに転じたタイミングでは、順張りで流れに乗るチャンスとなります。このときは、バンドの傾きが出た方向に押し目買いや戻り売りを仕掛けることで、トレンドに従ったトレードが可能です。
ボリンジャーバンドの長所は、エントリー・決済ポイントが視覚的に分かりやすいこと、トレンドの兆しが見えること、そして相場の転換点を予測しやすい点にあります。反面、そのサインを過信せず、相場環境に応じて判断を変える柔軟性が必要です。
移動平均線の仕組みと活用法
トレンド判断とエントリーチャンスをつかむクロス理論
移動平均線は、相場の方向性を視覚的に捉えるうえで非常に有効なインジケーターです。
私のチャートでは、10EMA(短期)、20SMA(中期)、90SMA(長期)を基本セットとして表示しており、それぞれを活用することで短期の動きと中長期の流れをバランスよく把握できます。
中でも注目すべきは、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」というシグナルです。
たとえば、短期線が中期線や長期線を上抜けた場合には上昇トレンドへの転換が示唆され、逆に下抜けた場合には下落への警戒が必要となります。
このようなクロスは、押し目買いや戻り売りのエントリーポイントとして非常に有効です。10EMAが20SMAを上抜けたのち、さらに90SMAも超えていく展開では「パーフェクトオーダー」が完成し、強いトレンドが発生する可能性が高まります。
移動平均線を実戦で使う際には、単なるクロスの有無だけでなく、各線の傾きや並び順も併せて確認することが重要です。

3本すべてが同一方向に傾き、きれいに並んでいれば、トレンドの信頼度も高く、戦略の立て方も明確になります。
レンジ相場では機能しにくい移動平均線の限界
移動平均線はトレンド判断に有効ですが、相場がレンジ状態にある場合には注意が必要です。
横ばい相場では、ゴールデンクロスやデッドクロスが頻繁に発生しやすく、「だまし」のシグナルとなることがあります。
実際に、価格の変動幅が狭く方向感のない場面では、移動平均線が絡み合って上下を繰り返す状態に陥ります。こうした状態では、「押し目買い」や「戻り売り」の判断が裏目に出ることが多く、初心者の方は特に往復ビンタに遭いやすくなります。
このような場面では、移動平均線をエントリー根拠とせず、一時的に使用を控えるという判断も必要です。無理に移動平均線のシグナルに従うのではなく、他のインジケーターや時間軸を使って相場の環境認識を補うことが大切です。
「いつものようにゴールデンクロスでロングしたのに、なぜか負け続けている」という時は、相場がそもそもレンジである可能性を疑うべきです。

このような見極めができるようになると、無駄なエントリーを減らすことができます。
局面に応じた指標の使い分けと優先順位
トレンド相場では移動平均線のパーフェクトオーダーを重視
トレンドが明確に発生している相場では、移動平均線を主軸にして戦略を組み立てるのが有効です。特に、10EMA・20SMA・90SMAの3本がすべて上向き、もしくは下向きに揃っている「パーフェクトオーダー」の状態では、非常に信頼性の高い順張り戦略が成立します。
このような局面では、短期的な押し目や戻りを狙ってのエントリーが機能しやすく、方向性に逆らわずにトレードすることで利益を伸ばすことができます。
移動平均線の傾きと順番を確認し、全体が調和した方向に動いていると判断できるときは、迷わずその方向に従うべきです。
反対に、パーフェクトオーダーの成立前や崩れかけの局面では、無理なエントリーは控えた方が安全です。

方向感がはっきりしている時こそ、移動平均線の強みが最大限に活かされる場面です。
レンジ局面ではボリンジャーバンドの上下限を活用
一方、相場が横ばいで方向性が出ていないレンジ相場では、ボリンジャーバンドを中心に見ていくほうが効果的です。
特に、バンドがスクイーズしていてバンド幅が7〜10pips程度に狭くなっている場面では、反発を利用した逆張り戦略が機能しやすくなります。
このとき、バンドの上下限に価格がタッチしたタイミングを狙ってエントリーを考えます。加えて、スクイーズ状態からどちらかに抜けた場合にはエクスパンションが始まり、順張りの戦略に切り替えることが可能です。
例えば、−2σ付近で反発が確認できればロング、+2σ付近で反落が見られればショートといった形です。バンドの形状を観察することで、レンジの継続かブレイクかを判断し、戦略の切り替えに活かすことができます。
トレンド相場では移動平均線、レンジ相場ではボリンジャーバンド。

このように局面に応じた使い分けができるようになると、不要な損失を避け、より安定したトレードが可能になります。
実践トレード例|10月25日ポンド円のエントリー判断
スクイーズを確認し、狭い値幅でロング判断
2023年10月25日の朝、ポンド円において実際に私がロングエントリーした場面をご紹介します。
この日、チャートを確認したところ、ボリンジャーバンドが明らかにスクイーズしており、バンド幅が7〜10pipsほどと非常に狭くなっていました。こうした状況は相場のエネルギーが溜まっている証拠であり、いずれどちらかに大きく動く可能性が高まるタイミングです。
さらに、前日のニューヨーク時間にかけてポンド円は大きく下落しており、安値圏でのもみ合い状態が続いていました。こういった局面では、東京時間に入って流れが転換するケースも多く、今回もそのパターンを想定しました。
具体的には、スクイーズしたボリンジャーバンドの下限(−2σ)付近に価格が位置しており、反発の兆しがあったため、23付近からロングエントリーを行いました。
このとき、チャートの動きから下落余地が限定的であると判断し、多少の押しを待たずに先回り的にエントリーした形です。
重要なのは、ボリンジャーバンドのスクイーズ状態に加え、直近の下落が一巡しているという環境認識、そして東京市場という時間帯特性を複合的に踏まえたうえでの判断だったという点です。
スクイーズ後のエクスパンションで利益確定へ
ロングエントリー後、ポンド円は徐々に反発し始め、ボリンジャーバンドのスクイーズ状態からエクスパンションに移行していきました。
この動きは、バンド幅が広がるとともに価格が上方向へ抜けていく典型的なパターンで、エントリー後にトレンドが生まれる理想的な展開です。
こうした場面では、初動の勢いに乗ることが非常に重要です。私は通常、ブレイク狙いのトレードは積極的に行いませんが、スクイーズ後の初動に乗る形であれば、リスクを抑えつつトレンドに追随することが可能です。
今回のトレードでも、値幅の狭い状態からの拡張であったこと、そして上位足のミドルライン付近がサポートとして機能していたことから、上昇余地は十分にあると判断しました。
最終的には、上昇後のボリンジャーバンドの上限付近まで引きつけて利確を行い、短期的ながらも効率的に利益を獲得できました。
ポイントは、スクイーズ時にエントリーの準備を整え、エクスパンションが確認された段階で持続の判断を行うという流れです。

値動きが少ない局面でも、正しくバンドの形状と価格の反応を読み取れば、トレンド初動にうまく乗ることができます。
ボリンジャーバンドと移動平均線を組み合わせる
ボリンジャーバンドと移動平均線は、いずれも優れたテクニカル指標ですが、それぞれに得意とする局面と注意すべき弱点があります。
相場がトレンドを形成している場面では、移動平均線を用いた順張り戦略が有効に機能します。
一方、方向感の乏しいレンジ相場では、ボリンジャーバンドを中心とした逆張りの戦略が結果を出しやすいです。
今回の記事では、指標の基本構造だけでなく、スクイーズやエクスパンション、ゴールデンクロス・デッドクロス、そしてパーフェクトオーダーといった応用概念も交えて解説しました。
さらに、実際のポンド円トレードの事例を通じて、理論と実践のつながりもご理解いただけたかと思います。
大切なのは、単一の指標に依存するのではなく、相場環境に応じて使い分ける柔軟さと判断力を身につけることです。そして何より、こうした知識を日々のトレードに落とし込み、自らの手で検証し続ける姿勢が、成長の大きな原動力となります。
まずは、現在のご自身のチャートにボリンジャーバンドと複数の移動平均線を設定し、過去の値動きを振り返りながら「どの局面でどちらの指標が機能していたか」を観察してみてください。

こうした積み重ねが、自信あるトレード判断へとつながっていきます。
焦らず、一歩ずつ着実に。実践を通じて、勝ちにつながるトレーダーへの道を築いていきましょう。